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本当に安全なの?という疑問
日本では水道の水は安心して飲める、これは通説になっています。
海外であれば、水道水を飲んで即座にお腹をこわしてしまうこともありますが、日本ではそのようなことはありません。
それは水道法という法律で51項目の水道水質基準項目が定められ、その水質基準を満たした水道水を供給することが義務づけられているからです。
専門家から疑問視の声
でもほんとうに安全なのかというと疑問視する専門家も多く、その理由として、
- 水道の原水に入る可能性のある化学物質や農薬はあまりにも多数であり、すべてチェックすることは不可能
- 健康への影響が確認されていないものや分析技術が確立されていないものは、最初からチェック項目から外れている
- 浄水場で行う水質分析や監視体制には限界もある
ことなどが挙げられています。いわば100%安全といえず、実は曖昧な中での安全なのです。
現行の水道水質基準は、平成15年に全面的に見直し制定されたものであり、これまで5回の改正を経て平成26年4月1日からは51項目について基準値が定められています。また、見直しに際し、厚生労働省通知により、快適水質項目や監視項目は廃止され、新たに水質管理上留意すべき項目として「水質管理目標設定項目」(28項目、平成26年4月1日からは26項目)が設定されています。
カルキの正体
日本の水道水は、前述した水道法によって細菌の混入を厳しくしているがために、殺菌を目的として注入されている塩素の量が世界一多いと言われています。
よく「この水はカルキ臭い」などと言うことがありますが、このカルキが殺菌のための塩素です。
カルキとはオランダ語で石灰のことで、ドイツ語のクロームカルキからきていて、正確には塩化石灰というものです。
塩化石灰が水に溶けると次亜塩素酸イオンになり、これが殺菌・消毒効果があるため利用されています。ただその殺菌・消毒効果は決して完全ではありません。
水道水の中の危険物質
塩素の弊害
プールに入ったあと、髪の毛がゴワゴワになったり、肌がかさかさになったりした経験はありませんか?これは、あきらかにプールの水の中の塩素(次亜塩素酸イオン)のせい。
塩素はタンパク質に付着しやすいため、髪にも肌にもくっつきやすく、立ちどころにダメージとなってしまうんですね。
それからプール後に塩素や細菌の入った水道水で目を洗うことも目の表面を保護しているムチンを含む粘液が流されて、角結膜上皮に傷がついてしまうことも心配されています。
もっと怖いのは、塩素は微生物を分解する時、トリハロメタンという物質が発生します。このトリハロメタンは、なんと発がん性物質なのです。
トリハロメタンがはじめて問題になったのは1974年のこと。アメリカのハリス博士が、アメリカのミシシッピ一河を水源にしている住民のがん死亡率が高いことに着目して調査したところ、その原因が水源のトリハロメタン(クロロホルム)だということがわかりました。
のちに米政府の環境保護局もこれを認めました。
ほかに、アメリカやカナダでの疫学調査によると、水道水中のトリハロメタン値が高い地域で流産・死産の割合が約66%高いという結果も出ており、その弊害が心配されています。
ほかにもこんな弊害が!
- 発がん性
- 髪や肌のタンパク質を破壊
- 免疫力の低下
- 骨の軟化
- アトピー性皮膚炎の悪化
- 料理することによって栄養素(ビタミン)の破壊
トリハロメタンを除去する方法
水道水中のトリハロメタンは沸騰させると除去することができます。
でも、注意しければならないのは、沸騰して5分後くらいに一時的にトリハロメタンの濃度が高くなること。
これでは沸騰させても意味がありません。なので、10分以上沸騰を続けなければなりません。
沸騰してすぐに火を止めるようなお料理だとトリハロメタン値は高くなってしまいます。
電気ポットの場合では、沸騰操作を数回繰り返すことでやっと除去可能になりますが、かなり面倒です・・。
硝酸態窒素の弊害
1945年、アメリカで乳児が突然青白くなって呼吸困難になる事件がありました。
これは、ブルーベビー症候群と呼ばれ、原因は『硝酸態窒素』の濃度が高い井戸水を飲んだことが原因でした。
硝酸性窒素を含んだ飲料水が体内に入ると、メトヘモグロビン血症という酸素欠乏状態を引き起こしてしまうのです。しかも乳児に粉ミルクを与える時は、消毒のために一度煮沸した湯冷ましを使いますが、硝酸態窒素は煮沸によって濃縮する性質があり、高濃度の硝酸態窒素が入ってしまう可能性があります。
ブルーベビー症候群によってアメリカやヨーロッパで数十人の赤ちゃんが亡くなり大きな問題となって、硝酸態窒素による水汚染への対策がとられました。
日本では地下水がたまらずに流れているため、硝酸態窒素の汚染濃度が低く、ブルーベビー症候群は発生しにくいと言われていますが、1990年井戸水を飲んだ乳児が重度の酸欠状態になった例があります。1995年にも北関東でブルーベビーが発生していたと報告があります。
その後の発生は確認されていないようですが、環境基準を超えた井戸の数が2000年度には165本だったのが
2005年度には651本に増加しており、軽度な中毒症状は各地で起きているとも言われています。
地下水が原水の水道水や銘水も危険!
硝酸態窒素は、農作物の有機肥料や化学肥料、産業排水や生活排水が源となって発生します。
動物の糞尿、畜産の排水、化学肥料などに含まれる窒素が分解されてできます。これが河川や地下水に入り込み、水道の原水に使われることで水道水にまで混入してしまうのです。
特に化学肥料には大量の窒素が含まれるため汚染の原因として憂慮されています。
また、市販されている銘水のペットボトルにも、許容値ギリギリのものもあるようです。
怖い!硝酸態窒素の弊害
- ブルーベビー症候群(メトヘモグロビン血症)
- 副腎機能不全
- 心臓細胞への障害
- 肺機能不全
- 糖尿病(すい臓ランゲルハンス細胞への障害)
そのほかにも心配な近年増えてきた水道水の汚染物質
◆トリクロロエチレン
様々な有機物質を溶かす力があり、油分や繊維製品の汚れを落とす洗浄剤として使用されています。肝臓や腎臓に障害を及ぼし、発がん性もあることがわかりました。
近年、トリクロロエチレンを使用する地域で地下水から検出されて問題となっています。
◆テトラクロロエチレン
おもにドライクリーニングの洗浄剤として使用されています。また、代替フロンの原料としてのも使われています。分解されにくいため残留して土壌や地下水を汚染します。
揮発性のため大気中に放出され、人の健康への影響が懸念されており、発がん性や中枢神経障害、肝臓・腎臓障害などが報告されています。
◆放射性物質
福島の原発事故後心配なのは、やはり放射性物質です。
2014年7月~9月のモニタリング調査(原子力規制委員会)では、関東と東北12都県の水道水からいまだセシウムが検出されています。